ちょっと一服 小噺百話/北の美味いをお届けする【北加伊堂】

 カリブ海周遊の遊覧船上で70才になる元水泳選手が4、5人の旅客にとり囲まれて過去の栄光を語っていた。
 そこへ突然、悲鳴があがって幼い少女が手すりから転落し、海に落ちるのが目に入った。と、殆ど同時に元水泳選手の体が海に向って飛んでいき、女の子は助けられた。二人が船上に戻ると少女の父親が言った。
 「あなたは、娘の命の恩人です。私は、金持ちです。どんな御礼もできます。どうか、何でも言ってください。御礼がしたいのです。」
 「お言葉ですが、私は、今の生活に満足しています。これ以上、お金が欲しいとは思いませんし、他に何も欲しいものはありません。ですが、一つだけ聞きたいことがあります。ご返事頂けますか。」
 「もちろんです。何なりとおっしゃってください。」
 「私を突き落としたのは、誰でしょう 


 直通電話がない地方から、交換台を通じて、電話がかかってきた。「もしもしフェインバークさんですね」 「そうです」 「ジャクソンさんから長距離電話です、どうぞ」 女性交換手の声に続いて男の声がした。
 「フェインバーク、頼みがあるんだ、差し迫って500ドルないと俺は破産する、貸してくれ!」 「もしもし電話が遠くて聞こえない、今何ていったっけ」
 「500ドル貸してくれ、俺は困っているんだ」 「何だって聞こえない」
 「500ドル貸してくれ」「何、電話が遠くて聞こえんよ」 その時、二人の間に交換手が割って入ってきた。
  「お話し中ですが、回線に異常はありません。お二人の通話は正常です。私にはよく聞こえますけど」
 フェインバークは冷ややかにいった。 
  「そうかい、それじぁ、あんたが500ドル貸してやんな!」


 両方の耳をひどくやけどした男が救急車で病院へ運ばれた。訳を聞いた医者に男は説明した。「アイロンをかけている時、電話がなって受話器をとる代わりにうっかりアイロンを右の耳にあてたんです。
 「では、左の耳はどうしたんです。」男はすぐに答える。「もちろん救急車を呼ぼうと思って電話をかけようとした時ですよ。」


 マックが結婚相談所にやってきて相談員にぼやいた。
「10年前に結婚した当時は、1日の仕事に疲れて帰ってくる私に、犬が飛んできて、吠え立てながら纏わりつき、そこへ妻がスリッパを持ってきてくれたものです。
 ところが10年後の今はどうでしょう。疲れ果てて帰ってくる私に、犬がスリッパを持ってきてくれるんです。そこへ女房が現れて激しく吠え立てながら私の周りをぐるぐる回るんです。
 「いったい何がいいたいんですか、ムッシュー。」
 相談員は冷ややかにいった。「あなたは10年前と全く同じサービスを受けていらっしゃるじゃないですか。」


 マドリッドに到着したVIPを出迎えた日航の支店長が夕食でもでいかがですかと誘う。
 ところがVIPの方は、世界中のうまい物すべて食い飽きちゃってる。ワインも飲み飽きちゃっている。
 「どうぞお構いくださるな。」「いえ、ちょっと変わったものがございまして、是非ご賞味のほどを。」ってんで、連れて行かれたのが場末のレストラン。
 待つことしばし、皿の上に丸いフニャフニャしたものが出てきた。グルメのVIP先生が召し上がってみると、これが柔らかくて、味が深くて、いままでに経験したことのない美味なんです。
 「これは、いったい何ですか?」と聞くと、「ハイ、これは今日、闘牛場で殺されたばかりの、牛の睾丸でございます。」
 翌日の夕方、VIP先生またあれが食べたくなった。
 日航の支店長だって毎日は付き合ってはくれないから、一人でタクシーに乗って昨夜のレストランへ行って、店の主人に昨日のと同じのを頂戴というと、間もなく皿が出てきた。
 それを食べると、やっぱりうまい。先生が、感心して、主人に言う。「絶品ですな。絶品ですが、今日のは昨日より、ずいぶん小さいですな。」
 すると、主人が答えて、
「マエストロ、必ずしも牛ばかりが負けるとは限りません・・・・」


 勤務を終えた警官が夜、帰宅してベットの横で制服を脱ぎ、寝ようとすると、妻が「悪いんだけれど、お腹が痛くてどうしょうもないの。薬を買って来てくれない?」
暗い寝室でゴソゴソと制服を着て外に出ると、
 ちょうどパトロール中の同僚が、
 「お前、何で消防士の制服なんか着ているんだよ」


医者に向かって、男が訴えていた。「私は、眠り病です。」すぐ眠くなるんです。
何とかなりませんでしょうか。
「どんな症状なんです?」
「仕事を始めると、ものの10分もしない内に眠くなるんです。」
「どこで働いているんですか。」
「隣町の牧場です。」「牧場!それでは牛を追いながら眠るんですか?」「いえ、牛ではありません。それに私は、牛の係りではないのです。」思い出しただけでも眠くなるというふうに、男は、あくびをしながらいった。「私は、羊の数を数える役なんです。」


 パリのキャバレーで大当りをとっているマジッシャンの噂を聞きつけて、ハワード・ヒューズが目をひんむくようなギャラで、ラスベガスのサンズに招聘した。
 そのマジッシャンの人気の秘密は、オームのポアンが彼が魔術をやっている傍らで、片っ端から種明かしをしちゃうところにあった。
 さて、マジッシャンは、飛行機が嫌いだったので、サウサンプトンからポアンとともに船でアメリカへ向かった。ところが、タイタニック号と同じように氷山にぶつかって難破、マジシャンとポアンはゴムボートで漂流を始めたが、どうしたことかポアンがじっと思いに沈んだまま口を開けない。
 一夜明け、一日たち、二日たち、マジッシャンが「ポアン、いったいどうしたんだ、頼むから口をきいてくれ・・・・」とかき口説くと、
 ポアンは、「ずうっと考えてるんだけれど、あなたが船をどこに隠したのかわからない。」


 普段は、妻など連れていってやったことがないマックが妻のリンダを誘って競馬を楽しむことにした。競馬場につくとマックがリンダにいった。
 「今日の一番のレースは、第5レースね。もしかしたら大穴が出るかもしれない。ここに100ドルあるから、君も自分の一番好きな番号に賭けてごらん。あそこが窓口だ」
 窓口はいくつもあった。「何番がいいか全然分からないわ」
 「それだったら奥さん」独り言を言いながら迷っているリンダにハンサムな青年が言葉を掛けてきた。
 「奥さんの年と同じ番号を買う手もありますよ」「そうするわ、有難う」
 リンダは、青年にウインクを送って礼をいい、青年の手前、気前よく100ドル全部払って3−6の馬券を買った。
 レースが終わった。結果は4−5で200倍という物凄い大穴だった。その途端、リンダは失神した。


 カジノへ日本人がやってきて、ルーレットを張りはじめた。いくら張っても当たらない。横のアルゼンチンの紳士は、ポンポン当てている。
 日本人は、たまりかねて、「セニョールあなたばかり当たって、私に当たらないのはどういうわけでしょうか」
 アルゼンチンの紳士は、「ルーレットの数字は、ジンクスみたいなものです。妻の年齢で賭けているものもいれば、自分の誕生日の数字で賭けているのもいます。どれがいいとも悪いとも言えない。しかし、私が長年やっていて、いいと思う方法が一つあります。現に今、私はそれをやっているのですが、それでいいならお教えしましょう」 
 日本人は、「何でもいいから、教えてください」といった アルゼンチンの紳士は、「じゃあ、あなたは、トイレに行ってムスコの長さを計りなさい。その数字をしっかり覚えていおいて、その数字でルーレットを張ってみたらどうですか」
 日本人は、トイレに行って、ナニを出して、ナニして、出てきて、「18の黒、18の黒」とつぶやいている。
 ルーレットの台に戻って、18の黒に張ると、当たらない。当たっているのはアツゼンチンの紳士で、13の赤。また、18の黒に張る、またダメ、当たったのは13の赤。
 なんべんやってもこれなので、日本人は、たまりかねて、「セニョール、あなたの言う通りにやっているんですが、あなたばかりが当たって、私に当たらないにはどういう訳でしょうか」と言った。
 そうすると、アルゼンチンの紳士は、ニッコリ笑って言うには、「よくあることですが、ウソをつくからいけないんですよ、あなた」

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